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オーガニックフードで
自分も地球もヘルシーに。

2012.08.10

Text: Romiyo Hayashi

 

私たちが"社会貢献の道先案内人"という意味で、「ソーシャルコンシェルジュ」というNPO2007年1月に立ち上げて、最初に行ったイベントがオーガニック・クッキングセミナーでした。東京近郊の農家の方が作った旬の有機野菜を使って、オーガニック・コンシャスなシェフや料理研究家の先生たちから、作り方を教えていただくというもの。自分が口にする食材が「どんな状態の農地で、どういう生産スタイルで、生産者は誰か」という食の背景に関心を持って欲しいという思いがそこにはありました。

そもそも「オーガニック」って何でしょう? オーガニックは日本語で「有機」の意味。農薬や化学肥料を使わず、有機肥料などにより土壌の持つ力を活かした有機栽培でつくられる農産物、またその農産物を原料として使った食品、動物であれば化学飼料を一切与えていないお肉や魚介類を「オーガニックフード」と呼びます。日本では、オーガニック(有機栽培)JASマークが付けられ、一目で見分けられるようになっています。このオーガニックJASマークの農産物は、単に化学物質を使わないというだけでなく、遺伝子組み換え原材料は使用しないとか、3年間農薬や化学肥料を使用しない土地で栽培しなければならないなど、大変厳しい基準が定められています。

1a645bc6.jpg   肥沃な土壌で生まれた農産物は味も美味しいし、栄養価も高い! オーガニックが自分自身の健康のために良いのは言うまでもないですよね。では、なぜオーガニックフードを買うことが、皆の幸せにつながるのでしょう? 第一に""にとってイイ!水、光、空気と同じように、私たちの生命の源である土も沢山の微生物を含み、生きています。生態系ピラミッドの底辺にある微生物やミミズなどの土壌生物が化学物質によって死んでしまうと農産物だけでなく、他の自然の植物も育たなくなり、その植物を食べている昆虫、昆虫を食べている鳥類も生きていけなくなります。もちろんそれらを食べている哺乳類、そして人間にも影響していきます。ご存知のとおり自然は循環しながら、バランスよく生きています。自然界の生物たちの糞(ふん)が土を肥沃なものにし、植物の成長を助けていることも忘れてはいけないですよね。何がかけてもダメ。

 化学物質を使った農業が、環境に負荷をかけ、決して持続可能ではないことを、長い間、多くの生産者、流通、販売業者は気づきながらも、効率を高めるため、そして自分たちの生活を支えていくため、黙認してきました。それは、「まっすぐなキュウリが調理しやすくてイイ」、「虫のついたキャベツなんて気持ち悪い」、「安いほうがイイ」など、農産物を買う私たちの趣向が反映されたからでもありました。現在、オーガニックに注目が集まっていますが、国内生産の農産物のうち、JAS認定を受けた有機の割合はわずか0.18%(平成21年度)。

 自然に支えられ、自然を支えている日本の農業を、私たちが支えることは、環境問題、さらに低い食料自給率の問題解決にもつながります。毎日何を食べるかによって、人間が自然と共存していけるかどうか、未来が決まっていくのです。「有機」でなくても、「無農薬」や「低農薬」といった環境に負荷をかけない農産物を"買う"応援が必要です!